愛のある辞め方と見送り方

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先日お話をしていた方から自分は出戻りであると告白されました。

 

一度飛び出た理由はどうしてもやってみたい仕事があったからなのだそうです。然し乍ら当時の会社にはそのポジションは必要な段階に無く、悩んだ末に転職されました。

 

念願の仕事を手に入れましたが、数年後社内異動で別部門のポジションを打診されたそうなのです。ご本人としては新しいキャリアに楽しさも感じていて、その後の目標もはっきりしてきた頃だったそうです。確かにそれは悩みますよね。

 

出戻りのきっかけとなったのは一度は辞めた今の会社の同僚との宴席の場。もともと仲違いしたわけでなく経営、同僚とも関係は続いており、たまに近況報告かねて会う機会もあったのだそうです。そこで悩みを打ち明けたところ、数日後社長から連絡があり、あの時できなかったことができる体制が整ったと言う事実、そして「今日は本気で口説きにきた」と言う言葉をかけられ、戻ることを決めたのだそうです。

 

この方の会社との関わり方がしっかりしていた点もありますが、この社長さんの言葉素敵ですよね。そしてなかなか言えない。

 

仕事柄退職に関する様々なシーンに遭遇します。その多くが背中を押してくれる上司や役員などのお話なのですが、中には執拗な引き留めを受ける人もいます。

 

「散々投資して育てた恩も返さずに辞めるのか?」「穴を空けて誰が責任を取るんだ?」などの脅迫めいたものや「後任が来るまで待ってほしい」「一緒に頑張ってきたじゃないか」などの泣き落とし系「実は次はこう言うポジションを考えていた」「給料を上げよう」「その仕事をうちでやろう」などカウンターオファー系、単に交渉に対して口を塞ぐ牛歩系など。

 

本当にいろんなケースがあります。会社にとって人が辞めるのは痛いですし辛いことですが、退職を止める権利は会社にはありません。そして上記のような間際になっての施策は第三者から見ると付け焼き刃であり悪手でしかありません。

 

給料上げる、ポジション変える、そもそもそれまでの社員に対する人事考課やキャリア設計をないがしろにしていたわけですから、短期的には改善しても長期的に見たらまぁお察しかなと。

 

どうしてこういうことになるのでしょうか?先日読んだ本には日本は幕府と藩を中心とした封建的統治が組織のベースになっているので、脱藩=裏切り、退職=裏切りという考えが根付いているのかもしれないと書いてありました。そして雇用される側にも未だに1社と添い遂げるという倫理観が強く根付いているのかもしれない。そういうところからきているのかもしれませんね。

 

ただ、会社の成長と個人の成長は必ず比例するとは限りません。いつかは出てしまうというのも想定するべきなのかなと思います。その上で放出した人材さえ、いつか取り戻す関係を作ることも大事なんだと思います。

 

選考でもあの時見送ったけど、あの時辞退or見送りされてしまったけど今なら…って結構あると思います。そんな時のために心がける見送り方ってあると思いますし、辞退の仕方と言うのもあると思うのです。

 

そこには相手に対する愛情とか気遣いみたいなものが必要なんだと思います。誰も彼も戻せるものではないですが、惜しい人ほど「寂しいけどいつでも戻っておいて」「いまのうちの状況だとあなたの夢が叶えられないけどいつでも相談にきて欲しい」なんて言葉をかけられるのって結構重要なことなんじゃないでしょうか?

 

先日とある大手企業の重要ポジションを提携先人材会社の方と一緒に斡旋支援しました。

 

内定は出ましたが、結果はご本人様の「辞退」でした。でもその企業の担当者さんから出た言葉がとても印象的でした。

 

「この内定に回答期限はありませんから」

 

これもすごい言葉だなと思います。本当に欲しい人材だったからこそですが、最高の敬意を示した内定連絡だと思いますしご本人様も辞退の非礼に対して救われたようでした。また、その企業のことは強く頭にインプットされたようでした。

 

採用や雇用は0か1、ダメかイケてるかの2択ではなくなってきているのかなぁと。

 

カノープス株式会社

cano-pus.com