就活は学生を孤独にしてると思う

先日、知人からお子様の就活について相談を受けました。以前、新卒紹介を経験してはいますが、今は専門家ではありません。ちょっと断ろうかな?と思いましたが、就職先を斡旋してほしいわけでもなく、アドバイスが欲しいという感じだったので

 
ご本人が一人でということであれば会います。

 
という条件でお約束をしました。聞いた限りだと上位ランクの大学に通っていますし、何も慌てることないんじゃないかなぁと思いましたが、ひとまず到着を待ちます。
 
で、来ました。すごくしっかりした感じです。いや、しっかりし過ぎというか、社会人ぽい。クレバーなオーラが漂ってきます。
 
「これはもしかしたら悩んでるといってもレベル高過ぎる悩みでは?」
 
一抹の不安を感じましたが、大切な知人のお子様です。おっさん代表としてしっかりしなくてはなりません。気を取り直して話し出しました。
 
「こんな暑いのにスーツじゃなくても…どこか面接だったの?」
「いえ、今日は何も…初対面で私服は失礼かと思いまして…。」
 
真面目です。そして、受け答えが硬い…そんな緊張しなくても…とは思いましたが、就活中の学生さんは戦闘モードです。すべての社会人に警戒してるのかもしれません。ピシッとしたスーツの若者を前に、ヘボいポロシャツ姿のおっさん。恥ずかしいです。スーツ着てくれば良かった。
と、なんだかんだと話しているうちに打ち解けてきました。
 
将来は日本の製品を海外に広めるために力を発揮したいんです。国内マーケットは縮小している一方で、海外では日本の製品を待っている方は沢山います。その架け橋になりたい。そのためにもメーカーに入りたい。
 
としっかり方向性が決まっています。久しぶりに学生と話しましたが立派です。今はこれくらい言えるのが普通なんでしょうか?この時点で「きみぃ!合格ぅ!」と言いたい気持ちでした。就活自体は現時点で30社ほど受けて、書類は60%通過。僕の記憶だとこれ位くらい通過すれば大したもんではないでしょうか? でもこの子の大学レベルなら普通か…?なんて考えていましたが、悩みが何なのか気になります。

なんで悩んでいるかというと、8/1になりまわりに内定する人が増えていている今をもっても一次面接が突破できないのだそうです。何が問題なのか教えてほしいと言いますが、ちょっと硬いだけでそんなに変かなぁとも思います。で、直近の選考状況をお聞きすると3社ほど選考が控えています。全部有名企業でした。
 
「何が問題だと自分では思う?」
という質問には
 
・その企業をなぜ選んだのかという志望動機が弱いと思う
・英語力が弱いのではないかと思っている
 
とのことでしたので、英語力から聞いてみるとTOEICも750点は超えています(これ低いのか?)低くないと思うよというと、自分はしてないけど、まわりは留学してたり…とやや自信を失っています。集団面接で他の超意識高い学生に押されて自信を失っているのでしょうか? 別にそんな卑下するような事じゃないよと励ますと、留学して海外でマーケットを実際見てきた人の志望動機はやはり実体験から来るので凄いんですと言います。
 
「では、なんで海外の人が日本の製品を欲しがってると思ったの?」
と聞くと大学時代はとある団体に所属し、海外の学生を日本にアテンドするようなことをしていたそうです。その都度、海外の学生に言われたのが「ジャパニーズプロダクトはNo1だ」「ジャパニーズプロダクトを見に行きたい。連れて行ってくれ」という声の数々。色々な方と話して自分の国の製品の良さを再認識したそうです。学生の紋切り型のような3ヶ月くらいの短期留学アピールを毎日聞いて飽きている人事担当者からすれば、リアルで良い話だと思いました。背伸びせずに、その話を堂々と楽しそうにすればいいんじゃないの?とアドバイスしました。
 
企業の志望動機については、これから面接を受ける上場企業1社で練習してみました。
 
…うーん。説明会でリクルーターが連発していた企業テーマの「挑戦」というキーワードを同じように連発しているので、途中良いこと言っているのになんだか、誰でも言えそうな抽象的な内容になってしまいます。上手いんだけど、なんだか熱量が伝わりません。
 
その企業のIR情報から株主向け決算報告書を出してきて、大体上場企業は株主向けに「うちは今期はこんな成績で来期はこうやりまっせ!」と書いているから、それを読み込んで、重点投下している事業と自分のやりたいことをリンクさせてみては?とアドバイスしてみました。見ながら話していると、「もう見ました」と。
 
「では、どう感じたの?」
と聞くと海外売り上げ比率が非常に高くて、マーケットを海外に移しているのが特徴で、前期は海外企業の買収の影響で、損失が出ているけど、今期から5ヶ年計画でほにゃらら…。
 
すごい。僕なんかより全然読み込んでます。あまりにしっかりしていて僕が自信無くなってきました。こう切り返されると、会社の方向性と自分のやりたいこととリクルーターが言っていた企業テーマはリンクしてるのがわかるから、あとは熱っぽく話すしかないよねとしか言えませんでした。
 
何が問題なのか一向にわかりませんが、最後に「他人に弱みを見せたくないんです」と本音を話してくれました。知らぬうちに自分を追い込み、何がいけないのかわからないまま就活を進め、どんどん自信を失っていったようです。とりあえず、僕からはロクなアドバイスはできませんでしたが、一番近い親御さんともっと就職について話したほうがいいよと伝えました。
親である知人も大変他人を気遣う方でしたので、お子様の自主性をと、距離を置いたようですが、かえって良くなかったのかもしれません。知人にも「いっぱい話を聞いてあげてください。ただし、何を言っても意見はせず否定せず責めずです。応援あるのみです」と伝えました。
 
あと、受けている企業がそもそも採用倍率高すぎるところばかり。海外市場で日本のためにという観点で見ればもっと視野が広がるはず。あと、大学レベルに合った企業をストレスなく探したいなら大学のキャリアセンターに行ってみては?と伝えました。聞くとやはり行っていません。なんだか、行ったら負け的な変なプライドがあるみたいです。大学のキャリアセンターは自分の大学の学生の就職を手伝う機関です。同大学の出身者が多い企業の情報も持っているはずですし、相談しない手はないよと伝えました。
 
本人がどう感じたかわかりません。ただ、感じたのは、一人でやり抜くには、いまの就職市場がちとしんどいんでは?ということ。就職倫理協定で水面下での競争感はより高まっているような気がしました。心理的には学生は追い詰められる一方なのではないでしょうか。もっとゆっくり就職活動ができる環境にしてほしいと思います。
 
 
真心のエージェント

tenshoku-rpg.com